十九世紀のロマン主義的愛コードにおいてもこのような、ここで名付ける「消極的能動性」、あるいは「能動的消極性」という現象が顕著である。ギデンズによると、「クウェスト」(冒険の旅)においては主人公が未来に向かって自ら挑戦するので、そこには「能動的な性質」があるという(Giddens 1992:46)。しかし、ここでギデンズが言う「能動的な性質」とは、実はウェーバーがピューリタンとの関係で指摘した、消極的能動性・能動的消極性にあたると考えられる。なぜなら、ロマンティック・ラブの場合は「クウェスト」の目的地は未定ではなく、最終的に神に)予定された運命だからである。[…]ロマン主義的愛コードにおいては、…