高校生の時にお付き合いしていた彼女は“視える子”だった。 高校2年生の夏休み、部活が終わってから彼女と待ち合わせの場所で落ち合った。彼女は他の高校に通っていたので、これがいつものパターンだった。 軽く食事をして、彼女を家まで送り届ける。 いつも通りに雑談をしながら、いつも通る短めの商店街に差し掛かった。今思えば、既にこの時に何かしらの前兆があったのかもしれない。 言ってもそれほど遅くはない時間。短いとは言え、居酒屋などが並ぶ商店街だ。普段のこの時間なら、まだうるさいほどに人がいる…はずなのだが、その日はまるで人がいなかった。 不思議に思いながら歩いていると、前からスーツを着た若い男性が歩いて来…