「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。」 よく、主人公より悪役のほうが有名な物語ってあるよね。中学国語最大のトラウマ教材と言われる『少年の日の思い出』(光村国語1年)に登場するエーミールも、その一人。 主人公の名前なんて知らなくても、“エーミール”といえば話が通じてしまう。(そもそも主人公は「僕」としか名乗っていない。) 暗い話だよね。道徳くさいよね。 でも、ちょっと待って。よく読んでみると、この物語、けっこう“奇妙”なんだ。 ■ 最初の場面、あれ本当に必要だった? 冒頭に出てくる「私」の末の息子。日が沈むとすぐに「おやすみ」と寝ちゃうらしいけれど、 ――夕飯はどうしたの。――親とし…