扉の向こう側 (扶桑社ミステリー)作者:パトリシア ハイスミス扶桑社Amazon ハイスミス1983年の作品で、彼女の後期の作品がけっこうそうであるように、「ミステリー」とか「サスペンス」というような作品ではない。彼女の著作一覧をみると、この『扉の向こう側』の前の『イーディスの日記』から、もう「ミステリー」でも「サスペンス」でもなく、ハイスミス女史はその晩年に大きく作風を変化させたようだ(この時期に「トム・リプリー」シリーズを2作書いてはいるけれども)。 『イーディスの日記』は、ある家庭の母親のことを書いたもので、実はその母親の息子はろくでなしの出来損ないなのだけれども、母親は自分の日記には息…