「コウジ、アリガト、バイバイ」。 まだ三歳にもならぬ孫は私のことをファーストネームで呼ぶ。妻に対しても同様である。娘一家は佐伯に二泊しただけで疾風怒濤の勢いで東京に帰って行った。 我が夫婦は「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ばれる立場を失ってしまった。娘婿の家庭ルールが持ち込まれた為である。娘婿がその両親をファーストネームで呼んでいる事に当初は甚だしい違和感を覚えたものである。娘も義理の両親をファーストネームで呼ぶ。長らくアメリカに暮らしているとはいえ義理の両親は元日本人なのであるが、その”ルール”の背景は知らない。 戦後「家制度」が廃止されたとはいえ、日本の伝統的な家族の在り方から見れば、家…