フリーマーケットの古着テントの裏で、私は息を殺していた。 ここは人が多いし、迷路のように入り組んでいる。 いくらあの二人でも、すぐに見つけられるわけがない。 そう思って、少しだけ安堵の息を吐いた時だった。 「……シュッ!……ハッ!……大臀筋の収縮……」 人混みのざわめきを切り裂いて、一定のリズムで奇妙な呼吸音と呟きが聞こえてきた。 そっとテントの隙間から覗き込むと、私は自分の目を疑った。 大群衆のど真ん中を、Mちゃんが「ウォーキング・ランジ(深く腰を落とす過酷な筋トレ歩行)」でズンズンと進んできているのだ。 あまりの異様さに、周りの人々がモーセの十戒のようにサァーッと道を空けていく。 隠密行動…