直木賞受賞作「八月の御所グラウンド」に連なる、現代の京都と歴史が入り交じる京都ファンタジー。短編「三月の局騒ぎ」と長編「六月のぶりぶりぎっちょう」からなる。 「三月の局騒ぎ」は京都の古びた女子寮を舞台にしている。入寮生は女御(にょご)と呼ばれ、厳しくも規律正しい生活を送ることに。新入生として入寮した主人公は、進級したときにキヨと呼ばれる謎の入寮生と相部屋になる。何年この女子寮にいるのか分からないような人物で、孤高で狷介、しかして彼女の正体は・・・。ユーモアとアイディアが一体になって楽しい一編だった。 「六月のぶりぶりぎっちょう」は教鞭を執る主人公が、京都の街で本能寺の変騒ぎに巻き込まれるという…