主力となる戦車。正確にはMBT(Main Battle Tank)の訳語。
もともと、第二次世界大戦あたりまでは戦車は重量によって軽戦車・中戦車・重戦車の三分類に分けられていた。
あるいはイギリス軍は機動力と使用法に着目して「歩兵戦車」「巡航戦車」に二分していた*1。
第二次世界大戦で戦車同士の戦闘が大量に行われた結果、まず敵戦車に対抗できない軽戦車の存在意義が失われ*2、中戦車と重戦車は「敵の戦車に対抗する」という理由でひたすら強化が続けられた。
重戦車は機動力は低いが、それでも火力と重装甲は魅力であり、ドイツのティーガー系列やソ連のKV、JS系列などはまさに恐怖の的であった*3。
一方、中戦車の持つ機動力・生産性などが実際にはもっとも必要な要素であったのは確かで、数的には各国の戦車部隊の主力を占めることになった。重戦車と比較して劣っていた火力も、みんなが本気で再設計や改良を行った結果、一定以上の水準に達するようになった。また、エンジンの能力が上昇した結果、「中」であった戦車の重量を増やせるようになったことも大きかった。
大戦終結と前後して、最終的に「敵の戦車に対抗する」という任務を単一車種で果たせるようになり、これを「主力戦車」と呼ぶようになった。主力戦車はマークI以来模索されてきた戦車の完成形ともいうべきものであり、現在各国が配備している戦車はすべてこれにカテゴライズされるといってよい。