四月(ウヅキ)ノ初午ノ日は白山神の祭にて、七歳男子(ナナツゴ)を馬に乗(ノセ)て粧ひたて、白兎(シロウサギ)の作り物あり。 此白兎は従者(スンザ)にてもろこしより神のぐし給ひしまねびといへり。 此処(コゝ)に斎奉(イツキマツ)る白山ノ神霊(カミ)は八十一隣姫(クゝリヒメ)の神にはおましまさず、その韓神(カラカミ)にてぞいまそかりける。 其日は田楽、うば舞(マイ)、さるがうなンどありて、賑(ニギハ)へるよし人の語る。 経蔵に戸ひらかせて入れば、立獅子(タチシシ)に乗る文殊師利菩薩(ボサチ)、獅子(シシ)の口索(タズナ)曳持(ヒキモタ)るは浄明居士、また筐(ハコ)さゝげ立るは善財童子また仏陀波利(…