1.古代佐伯氏の職掌 「佐伯」の名前は545年に「佐伯連」として初出する(第三十代敏達天皇時代)。古代、佐伯氏は大伴氏に連なる朝廷に仕える軍事氏族であった。大伴家持の「海行かば水漬く屍、山行かば草生す屍、大王の辺にこそ死なめ」は大伴・佐伯両氏による天皇家への忠誠歌である。 この佐伯氏は歴史上有名な事件にも登場する。蘇我馬子に命じられて皇位を狙う穴穂部皇子を誅殺(587年)した佐伯丹経手(にふて)、壬申の乱で中大兄皇子に従い蘇我入鹿を殺害(645年)した佐伯子麻呂と、武力行使を担った。 遡ること第十二代景行天皇の時に東国征伐による俘囚を西国(播磨、伊予、讃岐、阿波、安芸)に移住させたのが「佐伯部…