芥川龍之介の警句集。フランスの作家・アナトール・フランスの「エピクロスの園」をモデルにしていると言われる。 内容は犀利でそのロジックには面白いものが多い。 たとえば「ユートピア(理想郷)は存在しない、なぜならユートピアを実現するには人間性を変えなければならない、ところが人間性を変えると、それまでユートピアと思われていたものは、ユートピアではなくなる」などが代表的である。
『人生は一箱のマッチに似てゐる。重大に扱ふのはばかばかしい。重大に扱はなければ危険である。 芥川龍之介「侏儒の言葉・西方の人」(新潮社)』 「火の用心、マッチ一本火事の元」などと、火災予防の呼びかけがありました。 今の時代は、マッチをさがす方が大変かも知れません。 今は、ライター全盛で、ストーブなども、電池式のライターが装備されています。 芥川龍之介が遺したこのフレーズは、意味深です。 そのマッチ箱に、何本のマッチが入っているのでしょう。 また、それは、どの様な局面で、消費されていくのでしょう? さらに、「火気厳禁」ですから、それを保護する為には、どのような用心が必要なのでしょうね? それは、…
『他をあざけるものは同時にまた他にあざけられることを恐れるものである。 芥川龍之介「侏儒の言葉(岩波書店)」』 SNSにおける誹謗中傷などが問題になっている21世紀です。 また、「いじめていた人」が「いじめられるようになる」というパターンもあります。 一方、意見の相違は付き物ですから、それらを理路整然と並べて、一覧できる掲示板的なサイトも大切だと考えています。 成熟したディスカッションが冷静になされることを願います。 最近の傾向は、相手の口を塞いで、自分の主張を認めさせようとします。ある勢力は、フェイクニュースを流し、デマを流布することによって、「我田引水」を達成させようと目論んでいるように見…
芥川龍之介。 わたしはこの春酒に酔い、この金鏤の歌を誦し、この好日を喜んでいれば不足のない侏儒でございます。 「侏儒の言葉」 英雄や大富豪にはなりたくない、美女も望まない、飛び抜けて聡明な頭脳もいらない。つつましく、ただ伸びやかに幸福でありたい…… そんな侏儒の願いこそが、何よりも困難な贅沢であるのは、芥川龍の時代もいまの時代も変わらない。 ラノベのタイトルやキーワードに「スローライフ」が入る作品は多いけど、それらの主人公の人生は例外なく過酷なのは、書き手も読み手も、それが到底手の届かない夢だと、よく知っているからだと思う。 世知辛い。 侏儒の言葉 文芸的な、余りに文芸的な (岩波文庫) 作者…
画像出典:岩波文庫 芥川龍之介の「侏儒の言葉(しゅじゅのことば)」といういわばエッセイのような集があります。それらの中で、わたしの特に印象に残っているのは「瑣事(さじ)」の部分です。瑣事は些事(さじ)でもよく、意味合いは同じです。即ち「些細なこと。取るに足りない事柄」という意味あいです。「瑣事」の原文は下部の色付き細字の部分です。 瑣事 人生を幸福にする為には、日常の瑣事(さじ)を愛さなければならぬ。雲の光り、竹の戦(そよ)ぎ、群雀(むらすずめ)の声、行人の顔、――あらゆる日常の瑣事の中に無上の甘露味を感じなければならぬ。 人生を幸福にする為には?――しかし瑣事を愛するものは瑣事の為に苦しまな…
道徳教育が、「特別の教科」となったのは、 小学校で2018年、中学校で2019年からだそうです。 びっくりです。 最近じゃないですか。 今までは、「道徳の時間」が週1回、教科外活動としてあっただけだったそうです。 どうりで、あまり記憶にないはずです。 週1の道徳の時間ですら、他の授業よりも軽視され、遅れている他の授業の補填に使われていた学校もあったそうです。 しかし、道徳が教科化して、年間35時間確保しなければならなくなりました。 その理由は、他でもない 「いじめ問題」 の為だそうです。 現実のいじめ問題に対応できる資質・能力を育む為には、 「あなたならどうするか」を真正面から問い、自分自身の…
太陽の下に、新しいものなどない。 というようなことばを、ずいぶん前に聞いたことがあった気がする。 人間なんて、みんな似たようなものだ。 人間が考えることなど、自分では画期的な新しい考え方だと思っても、ずっと昔に遡ればすでに誰かが考えている。 そんなことばだと、思っていた。 最近、誰のことばだろう、気になって調べてみた。 「旧約聖書」にある言葉らしいことがわかった。 私が、思っていたのとは、全く違った意味合いのようである。 コヘレトの言葉 ダビデの子、エルサレムの王である伝道者の言葉。伝道者は言う、空の空、空の空、いっさいは空である。日の下で人が労するすべての労苦は、その身になんの益があるか。世…
社会主義、レニンの項もあります。 文学に隣国の状況が書かれており、 文学からの見方は新しい発見だった。
天才の項より 天才との差は1歩の隔たりがある。 1歩を理解するには百里の半ばを九十九里とすることらしい。 しかし、その1歩を理解することが難しい。 エジソンは天才とは1%のひらめきと99%の努力と言った。 どちらも1という数字が共通項。 天才を理解するには国語?算数? どちらから勉強する?
今日も少し読み進めました。 一つ一つの単元は短く、1行で終わることもあります。 例えば 『モウパスサン モウパスサンは氷に似ている。尤も時には氷砂糖に似ている』 私は意味がわかりません。しかし、考えてみます。 『親子 人生の悲劇の第一幕は親子になったことにはじまっている』 おそらくこれは 芥川龍之介先生が結婚を反対されたことについて、 自身のことを認めてくれいると思った人からの言葉によると思っています。 今でいう承認欲求か。 また、人間の縁のことをいっているのか。 考えるためにも勉強しよう。
『ガリバー旅行記』から旅行ということで、 宇宙旅行のことを考えました。 今、地球の周りを旅行することが可能ですが、 そのうち月くらいは行くのではないかと思います。 では、 火星はどうでしょうか? 旅行できるのでじょうか? そもそも探索はどこまでできるのでしょうか? 水があった痕跡という情報を時々見ますが、 真意の程はいかほどでしょうか? それはさておき、 芥川龍之介先生も火星について書いていました。 『侏儒の言葉』より 火星の項 住民の有無は五感の有無を問うことであると、 また、火星人の五感が同じでなければ、 お互いに認識はできないであろうとありました。 私は人間の心理描写の妙が、作品全体を通…