バイク教習の卒業検定日は雨だった。 教習の時は着たことのなかったカッパを身に着けて検定を受けなければならない。ただでさえ緊張する状況なのに、さらに普段と違うことが重なってしまう。 しかも検定コースは2つあって、どちらのコースかは当日でないとわからないのだが、発表されたのはあいにく苦手なほうのコースだった。 この時点で今日はツキがないと感じていた。 自分の番が回ってきて、検定が始まった。走り出してしまうと緊張はほどけてくる。少しのミスはあったものの最終局面まで順調に来た。残るは一本橋と急制動。急制動についてはこれまで特に問題なくできていたため、実質的には一本橋が最後の難関になる。 そして一本橋の…