原始仏教が示す「一切皆苦」と人間の不完全性 古舘氏は、釈迦が示した「一切皆苦」という言葉を、悲観的な教えとしてではなく、人間の心の働きを見つめるための基礎概念として捉えている。日常で人が美しさや喜びを感じる場面を例に、心の反応がつくり出す比較や期待の構造を取り上げ、そこに苦が芽生える仕組みを丁寧に示している。原始仏教が目指したのは苦しみを否定することではなく、苦がどのように生まれるかを理解することであったと解説している。 夕焼けを美しいと感じると、その印象が心に強く残ります。ところが、翌日に曇った空を見ると、つい物足りなさを覚えます。美しさを感じる心が、同時に別の景色を「美しくない」と判断する…