本作は《ミッドライフ・クライシス*1》を描いた小説です。 バブル絶頂期に成功を手にした主人公の人生は順風満帆に見えながら、何かが欠けていました。ある美貌の女性の登場により主人公は至高なるものを求めて《国境の南》へ、そしてその先の現実世界には存在しない《太陽の西》へと迷いこんでいきます。 《あらすじ》 ジャズ・バーを経営するハジメは、幸せな結婚をし、娘を私立の幼稚園に送り迎えする毎日を過ごしている。彼は義父の出資によって会社勤めから抜け出し、洗練され世故に長けた経営者となって裕福で安定した生活を手に入れた。しかしある日、愛車のBMWでシューベルトを聴きながら「これはなんだか僕の人生じゃないみたい…