国際税務

制度の趣旨 非居住者や外国法人（以下「非居住者等」という）に対する源泉徴収とは、非居住者等の「国内源泉所得（その所得が生じた場所や原因が国内にある所得）」について、その所得に課される税金を支払者側が天引きして非居住者等の代わりに納税する制度である。この制度の適用の有無にあたっては、「支払相手が非居住者等に該当するのか」、「非居住者等が受け取る所得が国内源泉所得に該当するのか」、「その所得が源泉徴収の対象になるのか」を判断する必要がある。 国内源泉所得の種類 非居住者等が日本で課税される国内源泉所得は、法人税法138条と所得税法161条に定められている。法人税法に規定されている国内源泉所得につい…

制度の概要 外国子会社合算税制（CFC税制）とは、日本の親会社が支配下にある海外子会社を使って納税額を過度に減少させる行為を防止するために、一定の海外子会社に生じた所得を親会社の収益とみなして日本で課税する制度である。 この制度の適用にあたっては、まず海外法人が日本の会社に支配されている「外国関係会社」に該当するかを判定し、次にその外国関係会社の所得が合算の対象となるか否かを、「経済活動基準」と「租税負担割合」という２つの基準によって判定する。 「外国関係会社」の判定 「外国関係会社」とは、日本の居住者や内国法人からの直接・間接の出資割合等が50％超となる外国法人を指す。間接保有割合の計算は「…

消費税の原則 消費税は消費という行為に着目して課税が行われる間接税で、「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等（消費税法４①）」が課税対象となる。消費税と海外取引が関係する項目については、大別すると①輸入消費税、②取引の内外判定、③輸出免税の３点が挙げられる。 輸入消費税 輸入消費税とは、外国貨物を国内で引き取る際に輸入者が支払う消費税である。このような輸出入の際に税金を課したり免除したりすることを「国境税調整」といい、国内事業者と国外事業者との価格競争において、税制が影響を与えないようにすることを目的としている。 輸入消費税は上記の通常の消費税とは別立てになっており、「保税…

制度趣旨 日本の法人税法は「全世界所得課税」の考え方を採用しており、日本の法人は、国内所得だけでなく国外で得た所得（「国外源泉所得」）に対しても法人税が課される。一方で、国外所得についてはその所得を得た現地国でも課税されるため、日本と現地国での二重課税の問題が生じてしまう。そこで、国外所得については現地国での課税を優先し、日本国内においては、一旦課税所得に含めるものの算出税額から現地国に納めた税額を減額することで二重課税の問題を解消している。これが、外国税額控除の基本的な考え方である。 制度の詳細 二重課税の調整を制度趣旨としながらも、現地国に納めた税額の全てが日本の法人税から控除されるわけで…

海外法人をどのように活用すれば日本国内で節税できるのか、という疑問から、インターネット検索したり、海外法人サポート会社に問い合わせされたりする方は多いでしょう。 しかし、その問いに対して答えを得るのは容易ではありません。 第一に、税理士又は税理士法人でない者が、原則として「税理士業務」を行うことが、日本では禁止されているからです。 税理士法第52条にて、「税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。」と規定されています。 税理士業務とは、以下の3つを指します。 税務代理：税務官公署に対する申告等につき、又はその申告等若しくは税務官公署…

第2セクション「必要な手続きと準備」では、海外移住を検討する際に前もって準備しておくべき事項を詳細に説明します。このセクションは、移住前に把握しておくべきビザ取得プロセス、年金の海外送金、国際税務、健康保険と医療体制、荷物の整理と引っ越しについての重要情報を提供します。 ビザ取得プロセス 年金の海外送金 国際税務 健康保険と医療体制 荷物の整理と引っ越し ビザ取得プロセス 海外移住の第一歩として、移住先の国が求めるビザを取得する必要があります。 ビザの種類と必要条件は移住先の国によって異なるため、事前にしっかりと調査することが重要です。 まず、移住先の国の大使館や領事館の公式ウェブサイトを訪れ…

重税事業は往々にして高収益事業です。 世間で耳にすることが少ないけれど、 毎年多額の納税をしている事業の経営者なら、 心のなかで頷いていただけるはずです。 しかし、重税と聞いて思い浮かべる負担は人それぞれです。 何パーセントの税率が重税と言えるのでしょうか？ 江戸時代では、全収穫量の 50%を領主が取り，残りの50%が農民の手元に残る五公五民が基本でした。 一方で、財務省によりますと、1987年には40%を超えていた法人実効税率が、2016年に始まる一連の法人税改革により、29.74％と「20%台」を実現できる水準となりました。 ここでは便宜上、現在の水準に照らして重税の税率を30%と定義しま…