子供の時分から地図とか電車の路線図とかを見て、まだ見ぬ場所についてあれやこれやと空想するのが好きだった。そんな空想旅行みたいなことをしていると、特に興味を惹かれる名前を持った場所に出会うことがあった。神戸〜大阪のあたりでは、たとえば、阪急宝塚線の「雲雀丘花屋敷(ひばりがおかはなやしき)」なんて、その豪華絢爛な名前を見る度に、一体ここはどんな場所なんだと興味津々だった。実際に訪れたのは、もういい年をした大人になってからだったが、上品で閑静な住宅街でちょっと拍子抜けした。 西宮の香櫨園(こうろえん)も、素敵な名前だなといつも思っていた。こちらは阪神本線の駅で、神戸からもそんなに遠くないので、けっこ…