源氏も参内して陪観したが、 五節の舞い姫の少女が目にとまった昔を思い出した。 辰の日の夕方に大弐《だいに》の五節へ源氏は手紙を書いた。 内容が想像されないでもない。 少女子《をとめご》も さびぬらし 天つ袖 ふるき世の友 よはひ経ぬれば 五節は今日までの年月の長さを思って、 物哀れになった心持ちを源氏が 昔の自分に書いて告げただけのことである、 これだけのことを 喜びにしなければならない自分であるということをはかなんだ。 かけて言はば 今日のこととぞ 思ほゆる 日かげの霜の 袖にとけしも 新嘗祭《にいなめまつり》の 小忌《おみ》の青摺《あおず》りを模様にした、 この場合にふさわしい紙に、 濃淡…