「女性記者を扱った作品」の第二弾は、仙川環『細胞異植』(新潮文庫、2014年)。大日新聞北埼玉支局に赴任した記者・長谷部友美の成長物語。「馬力もある。少なくとも、プライベート優先でなるべく効率的に仕事をしたい最近の若いもんとは、目つきも気構えも違う。ただし、お前には致命的な欠陥がある。いちいち上の顔色をうかがっちまうところだ。だから北埼玉支局に送り込めと部長に言ったんだ。あそこで、いくらせこく立ち回ったって、全国版で記事は大きくならない。そういう場所で、自分は何ができるか、何がしたいか地に足をつけて考えてみろってことだ」。元上司で、東京本社社会部の竹原デスクの指摘です。原題は、『流転の細胞』。…