封切り二日目。 席数154の【CINE9】の入りは八割ほど。 〔生きる〕は1952年公開のモノクロ・スタンダード143分の尺。 この『黒澤明』の名作を映画館で観た人は今時点で日本にどれくらい居るのだろう。 かく言う自分も名画座の特集の時に一度きり観ているだけなのだが。 しかし、その時の印象は強烈。静謐な筆致の中に、生きることへの激しい情念と、官僚主義への見事なまでの皮肉が併存しながら描かれていることに深く感銘した。 ただその一方で、故人が成し遂げたことは公共の福祉に資しはするものの、自己満足的な最後っ屁に近いものをちらりと感じた側面もあり。 翻って本作は、102分尺と40分以上短く、アスペクト…