作家、小説家、(1909-1992) 「探偵小説」を「推理小説」に変換させた原動力となった作家であり、いわゆる「社会派推理小説」の鼻祖である。ただし、作品は、推理小説の枠を越え、さらに歴史研究・昭和史検証にまで及び、非常に多岐に渡る。 デビューが遅く、それまでは長く「下積み人生」をおくってきたため、社会の下層にいる人々に共感した作品が多く、「司馬史観」と対象させて「清張史観」と呼ばれる場合もある。
5.0 白河(鬼塚)球磨子は多額の保険金をかけた夫と海へ車ごとダイブし自分だけ脱出して保険金殺人を疑われる。その疑惑を解き明かしていく係争と人間模様が描かれる。原作とは設定や筋が異なるそうだが、映画では希代の毒婦球磨子の悪逆無道を描くのが狙い。球磨子を桃井かおりが演じた。 球磨子という人物は意識的な悪ではなく無意識な悪で、悪で出来ているから悪意が見えない──という謂わばnatural-bornな悪女を桃井かおりが演じている。役に合わせた演技をするのではなく、内側から顕現させるのが桃井かおりのメソッドだと思う。鷹揚な態度、たどたどしい声音と抑揚、上目遣いなどが擦れっ枯らしな球磨子像の外貌をつくっ…
4.3 長く重く複雑な砂の器の映像化は難産で、ウィキにいくつかの逸話が記されていたが、なかんずく山田洋次の回想が興味深かった。 橋本忍とともに脚本を担当した山田洋次は──、 『「最初にあの膨大な原作を橋本さんから「これ、ちょっと研究してみろよ」と渡されて、ぼくはとっても無理だと思ったんです。それで橋本さんに「ぼく、とてもこれは映画になると思いません」と言ったんですよ。そうしたら「そうなんだよ。難しいんだよね。ただね、ここのところが何とかなんないかな」と言って、付箋の貼ってあるページを開けて、赤鉛筆で線が引いてあるんです。「この部分なんだ」と言うんです。「ここのところ、小説に書かれてない、親子に…
4.0 原作は松本清張の1957年作の短編小説。 宗吉(緒方拳)は女中の菊代(小川真由美)と懇ろになり不倫の末、三人の子供をつくるが養育費を払えなくなると、菊代は宗吉の本妻のお梅(岩下志麻)の前に現れ、子供らを残して出奔する。子供らはお梅の目の敵にされ、宗吉に始末するようけしかけるなか、弟は病死、妹は行方不明となり、兄も命を狙われる。 IMDBの野村芳太郎には79個の監督作品があったが点がついていたのは23個で、いちばん得点が高いのがこの鬼畜、二番目が砂の器、三番目が疑惑。すべて松本清張作品であり、それ以下も松本清張と組んだ「霧プロ」作品が並んでいた。鬼畜は野村芳太郎の代表作といえる。 鬼畜が…
一日にいくつかの予定(もちろん自分のなかでのもの)をたてるのですが、それ をやっつけようとしますと、けっこう時間がきびしいことです。 本日は午前にトレーニングで、昼からは食材と野菜苗などを買いにでかけ、 夕方にかけては小さなやさい畑をおこして、肥料を混ぜて、夜にはお菓子を焼くと いうことになりです。ずいぶんといろんなことをやっていて、できていないのは本を 読むことだけかなです。 まあ本を読むことよりも大事なことが、あるというふうに思いたいことで。 切れ切れの時間のなかで手にしていたのは、松本清張短編集で、30ページほ どの短いものを二作品読んだのが本日これまでの読書となりです。 そのうちの「点…
昨晩からずっと雨降り続くでありました。雨があがったのは朝9時をまわって いました。それからは青空も広がって庭仕事もできるかなという感じになりました。 本日は観葉植物の鉢増し一つして作業はおしまいです。このほかにも鉢増し 作業はいくつもあるのですが、それはもうすこしゆったりと時間を撮らなくてはです。 お友達とランチ会をするという家人を送って外出し、送り届けてから、当方は 市内のもう一軒あるブックオフへと行くことにです。昨日の今日でありますので、 ちょっと期待していったのですが、本日は、昨日のように大当たりすることはなし でありました。 本日の収穫は、前回に立ち寄った時に購入したカッパ・ノベルズ「…
島根県東出雲町亀嵩 湯野神社前 東京で学生生活をしていたころ、たまたま読んだ松本清張の推理小説に虜になり、次々と買って読んだ。 松本清張は、福岡隆氏という専属の速記者を雇っておられた。福岡隆氏は、昭和34年から43年まで清張の専属速記者を務めておられたそうである。 松本清張が口から紡ぎ出す言葉を、福岡氏が速記をとり、漢字仮名交じり文で原稿を作成されていた。 私が就職して間もないころ東京出張での研修会で、その福岡隆氏の講演を聴く機会に恵まれた。 そのときの講演会では、松本清張の専属速記者を務めておられたときの話ではなく、昭和46年に亡くなった落語家8代目・桂文楽の全集をある出版社が出すことになり…
松本清張の代表的1冊 ミステリー好きなら作品名を知らない人がいないであろう名作です。 松本清張と言えば日本のミステリーの原点的な存在であると、私自身はとらえているのですが、数多くある作品の中でも代表的な1冊だと思います。 いわゆる警察小説ということになりますが、一人の刑事の執念が事件の真実をとらえるまでの道のりを十分に感じることができます。 一見は男女の心中に見えた事象も、殺人事件として真実をあばく様は圧巻です。 ■あらすじ ■粘り強さからきっかけをつかむ ■2人の刑事の関係 ■松本清張の作品イメージ ■まとめ(感想) 【スポンサーリンク】 (adsbygoogle = window.adsb…
考える葉:松本清張 1962年(昭37)光文社刊、カッパノベルス。 この小説では主要人物が前半と後半とでガラリと入れ替わる構成になっているのがまず面白いと思った。(なぜそうなるのかはネタバレにもなるのでここでは自粛する)山梨県の身延山の西側に位置する有名な硯の産地雨畑(小説中では落石)で暮らしていた青年が知らず知らずのうちにある陰謀に巻き込まれる。彼は人生に生甲斐を見出せず、虚無的に生きていたが、その彼に親切に声をかけ、仕事を紹介する男とその妹に次第に親近感を覚えて行く。 考える葉:松本清張、小松久子・画 その先々で不審な殺人事件に次々と遭遇するうちに、終戦直後の混乱期に管理不明の軍需物資を利…
【パネルトーク (2)】 江戸川乱歩はエッセイも多数遺している。
本日の午後は、家人からの依頼でヘアカットのお店へ送迎することになり です。家人がカットをしている間は、近くにあるブックオフで待機するのですか ら、これは待つのも楽しでありまして、こういうアッシーは歓迎ですね。 ブックオフでの予算はいつもとおりのワンコインでありますが、スマホに届い たクーポンがありますので、それを利用してワンコイン内におさまるよう物色 することにです。 本日に買った2冊であります。 蘆江怪談集 (ウェッジ文庫 ひ 15-2) 作者:平山 蘆江 ウェッジ Amazon たぶん今でも新刊で入手は可能なのでしょうが、ほとんど新刊本屋では見か けることのないウェッジ文庫の一冊です。もの…