「…頬は唯々筋肉のみから出来て、笑窪さへなければ、奈良の三笠山の様な平凡極まるものでありますが、例へば庭園の芝生と同じ様に、之が広いか狭いか、又どんな形をしてゐるかゞ目、鼻、口等の道具を引立てるか、見殺しにするかの、重大なる役割をするのであります。…」 高田義一郎の講演集的著作たる『人体名所遊覧記』をこのあたりまで読み進めたとき、突如として筆者(わたし)の脳裏にネオンサインの燈るが如く、はっきりくっきり鮮明に浮かび上がったものがある。 スマトラ島の輪郭だった。 (そういうことか) 深く合点がいったのである。 (Wikipediaより、スマトラ島。赤く着色された部分) 面積473600平方キロ、…