はしご酒(Aくんのアトリエ) その九十一 「ベンドクタイショウ」② まえがき - 小野正嗣 きものや帯には、定められた寸法、つまり「型」がある。その「型」という厳然たる制約のなかで、作家たちが、染め、織り、刺しなどの技を通じて表現する〈色と形〉の多用さには驚くべきものがある。 ここには、八人のきものの作り手たちの肖像が収められている。・・・ 私の中のトビッきりな重要キーワードであるだけに、いや、あるからこそ、逆に、いつだってモヤモヤとしがちな個性とか自由とか表現とかといったモノ、の、あるべき姿のそのヒントが、サラリと書かれているような気がして、その冒頭の部分をもう一度スピードを落として読み返す…