民芸の主導者の一人河井寛次郎のエッセイ。美の感動は、結果としての製品ではなく、直接には物とは縁遠い背後のものからもたらされるものだと。冒頭の短い文章では、南山城の部落(集落)の家や道、田圃などそれぞれの、またその総体の美しさに感動し、「化物のような喜び」に引きずり回されるという。村人自身気付かない日常の美を掬い上げて記すその感動溢れんばかりの言葉は、読む人の心を動かす。物を、人を、またその背後にあるものを見る確かな目と情熱は、小さな京都の河井寛次郎記念館に到底収まりきらないものと知ることができる。 火の誓い (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ) 作者:河井 寛次郎,壽岳 文章,河井 須也子 …