20世紀後半に花を開いた日本の様々なゲイ雑誌の中、『薔薇族』は「少年愛」のテーマを比較的に避諱なく扱っているものとして知られている。この雑誌のごく初期だった1970年代には、特にローティーンゲイ関連の特集が定期的に組まれ、高○生の当事者(実証不可能だが)を含む寄稿者からの小説やエッセイが掲載された。号を重ねると、頻繁に執筆する作家も現れる。武田肇(別名義含む)はその中で特に活躍した人物だった。『薔薇族』版元の第二書房から2冊も小説集が出版されたことからも、この人が本誌における少年愛作品の重要なプレイヤーであることがわかる。 武田肇は詩人として様々な場面で活躍していたが、彼だけの着目する研究があ…