この作品を映画でも観た。 海老蔵の利休ははまり役だしいい映画だったが、利休の心に食い込んで離れなかった高麗の女がやはりちょっと残念だった。坐った形などほんとうに美しいのだが、原作のイメージとは違うという気がした。超然としているはずがにらみつけているように見えてしまうし、捉われてもなお屈しない姿がただ嫌がっているように見えた。 高貴な女性だ。政争に巻き込まれ、貴族の身分でしかも宮中へ上がることになっていたにもかかわらず、さらわれて売られた女だ。囚われの身となり異国である日本へ連れて来られた。それでも毅然とし気品を失わない。 このイメージを生身の女性が具現するのはほんとうにむつかしいと思う。利休が…