近代仏教研究者で曽我量深(そが・りょうじん)を知らない人はいないだろう。一方、同じ曽我でも曽我了雲(そが・りょううん)を知る人はほとんどいないだろう。私も最近まで知らなかったが、「静坐社に参加した福田與の旧蔵書が古書市場にー吉永進一さんの追悼としてー - 神保町系オタオタ日記」で言及した南山大学の研究会でチラリと名前が出たので覚えてしまった。そして、『藪内清著作集第8巻』(臨川書店、令和5年11月)の「有縁の人々」*1を読んでいたら、驚いた。藪内の甲陽中学(甲陽学院高等学校の前身)時代からの友人として、了雲が登場したのである。 多勢の兄弟の末っ子ではじめは新作という名であったが、後に僧職にはい…