元禄16年11月11日。因幡殿用人小笠原金太夫は供のため明け方尾張を発とうとすると具足櫃を盗まれた。急いでいたので舅兼松太郎兵衛の具足を遣わすと。この日明け方前から太郎兵衛は準備に来ており、具足櫃は志水の日用が江戸へ持って行くことになっていた。以前太郎兵衛長屋には権六という日用取が住んでいたが、この男が中に通じて盗ませた。具足櫃の覆いの1つは相応寺町の町屋に捨ててあった。これを拾った者も預けられる。11日の夜になって権六は密かに具足櫃を太郎兵衛の長屋に取りに来た。この日1日預けておくはずだったが、人に見つかるといけないので早く取りに来るようにとでこの如く。櫃の中の金を取り出し、具足も櫃のままこ…