捜査権や逮捕権を持たない部署や,署長,副署長が,犯人と向かい合い,人情で犯行を認めさせて,自首させる,というストーリーは,ハードボイルドな刑事モノドラマのアンチテーゼとしてよく作られる。また,犯行の決め手となる証拠を見つける鑑識部署,証拠を科学的に分析する科捜研,別部隊としての鉄道警察隊や消防署員の活躍で,事件が解決するストーリーも,幅広く使われる。犯人の素性も,ほとんどは被害者の関係者であり,どこかで糸がつながっていたり,早い段階で接触していたりする。そこから人情で問題解決に向かう。 昨今の犯罪は,この「糸」がまったくない無差別な犯罪が多い。しかも「高額アルバイト」として匿名で雇われ,マニュ…