〈昭和の忘れもの〉モノ・コト編㉟ 【日劇ミュージックホール(NMH)】 少しだけ艶っぽい話である。 日劇(日本劇場)といえばかつては映画興行をはじめ「ウエスタンカーニバル」で一世を風靡し、娯楽の殿堂としてショービジネス界の人間にとっては憧れの場であった。また、スクリーンにも度々登場するおなじみの建物は、内部の装飾を含めて建築遺産としても話題となった。 「日劇ミュージックホール」略してNMHは、その5階にあった小劇場である。日劇の本公演が表舞台とするなら、NMHは裏舞台ということになるだろうか。 当初は、ごく普通の男が自然に抱く好奇心から劇場に足を踏み入れたのだが、実体は想像とは全く違っていた。…