新年度。 部室には、新しい制服の子たちが数人。 その中でも、机に突っ伏しているひとりの子が、陽には気になっていた。 名前は、二葉(ふたば)つかさ。 入部初日、すでに「向いてないかも」と漏らしていた。 ——「電卓苦手なんですよね。ていうか、数字見てると眠くなるっていうか。」 まるで、半年前の自分そのものだった。 「じゃあ、こっちやってみる?」 陽はノートを差し出した。仕訳じゃない。ただの「お店ごっこ」だった。 ・5月1日 お菓子を仕入れた(1,000円) ・5月2日 友達に売った(1,500円) ・5月3日 机を買った(2,000円) 「こういうの、どう仕訳すると思う?」 つかさは、眉をひそめて…