J=ビート エッセイ987の№1 佐野元春論・サンチャイルドの系譜 ~~二○二○から二○二一の「友達」へ~~ 序 佐野元春は「ガラスのジェネレーション」であり、「SOMEDAY」だ。それでこの人の魅力の多くは語り尽くせる。――そういう視野から彼を論じる学者(主に社会学者)やジャーナリストが、何人か存在する(※1)。しかし、私ははっきりと断言しておく。――デビュー当時から「単独者」としてリスナーの心を奪った佐野元春。だが、私は今の佐野元春の方が、いっそう過激で、「単独者」として試行に満ちた魅力的な存在であると考える、と。 特に今、多くの人が家の中に籠もる時間が増え、他の人と直接関わることが困難な…