それは、足かけ十七年にも及ぶ、 一人の男の壮大な旅の物語。 男の名はゼンイチロウといった。 ゼンイチロウは、いつか自分の足で歩いた土地の記憶を、 一枚の大きな地図に描き上げたいという、熱い夢を抱いていた。 故郷の小さな村を出発したゼンイチロウは、 険しい山々を越え、広大な平野を歩き、時には激しい川を船で渡った。 雨の日も、照りつける太陽の日も、凍えるような雪の日も、 ゼンイチロウは一歩ずつ、確かにその土地を踏みしめた。 各地で出会う人々との触れ合いも、彼の旅を彩った。 親切な宿の主人、物知りな村の古老、同じように旅をする商人。 彼らとの会話や交流は、ゼンイチロウの心に温かい光を灯し、 地図には…