1962年長崎県生まれ 1990年京都で時空劇場結成 1997年解散まで作、演出 1994年、「坂の上の家」でOMS戯曲賞 1996年、「海と日傘」で岸田國士戯曲賞 1999年、「夏の砂の上」で読売文学賞
「神や宿業や他人に恐れ戦きながらも、誰かをしっかり愛したい。そのために台詞があるのだ。それゆえに私は台詞を書くのだろう」
一条真也です。東京に来ています。銀座で次回作の出版打ち合わせをした後、TOHOシネマズ日比谷で日本映画「夏の砂の上」を観ました。しみじみと泣ける、グリーフケア映画でした。 ヤフーの「解説」には、こう書かれています。「『紙屋悦子の青春』の原作などで知られる松田正隆の戯曲を、『そばかす』シリーズなどの玉田真也監督が映画化。夏の長崎を舞台に、息子を亡くした喪失感から抜け出せない男と、彼の妹が預けていっためいとの共同生活の行方を描く。監督としても活動するオダギリジョーが主演と共同プロデューサーを務め、彼のめいを『ゴーストキラー』などの高石あかり、主人公の妻を『告白』などの松たか子が演じるほか、満島ひか…
封切り二日目。 席数115の【SCREEN4】の入りは八割ほど。 1998年初演の戯曲の映画化と聞く。 主演の『オダギリジョー』は共同プロデューサーにも名を連ねている。そう言えば彼は〔ある船頭の話(2019年)〕で監督・脚本も務めていたか。 舞台は坂の町、長崎。 急峻な山が海っぺりまで迫り、住宅は斜面に寄り添うように林立。 見るだけで閉塞感はあり、登場人物たちは始終階段を登り降っており、彼等・彼女等が置かれた境遇のメタファーでもあるよう。 また、嘗て原爆が落とされた場所でもある。戦後生まれの女性の口を通しその様子は語られるが、そこまでのリアリティは感じられない。 『小浦治(オダギリジョー)』は…
出逢った、影響を受けた、記憶に残る劇団というものがある。 文学座、民藝、俳優座を観に出かけるときには、どういうわけかフルコース料理を注文する気分がした。しかし料理店を選ぶさいには、あそこは魚料理が自慢だからとか、酢の物や和え物が絶品だからとか、単品への興味がむしろ先立つことがある。演目への、演出家への、出演役者への興味から、次なる出逢いへと導かれていった。 劇団俳優小劇場(通称「俳小」)の最初はジャン・ジュネの『黒人たち』だった。小林昭二に惹きつけられた。一九六六年四月三十日のチケット半券が残っている。プログラムによれば、楽日だったようだ。 ジュネ作品とも初めての出逢いだった。こんな世界もある…