「今朝、私が収穫したものです」ウワツ。 将来文筆家を志望する若者たちに、文章の初歩あれこれをお喋り申しあげる会を了えた。息をして動くナマ多岐を観る最後の機会になるかもと、OBOG 連中からも駆けつけてくださるかたがあり、懐かしい顔合せのひと幕もあった。 世に背き、親から勘当され、家出してまで書き続けて大成した作家を、なん人も知っている。が、そういう人は大学だの教員だのに初めから期待していないから、教員時分の私の前になど、まず現れるはずがなかった。私が付合ってきたのは、好ましい素性をもちながらも、あと一歩で足踏みしていたり、ちょいとした料簡違いをしているばかりに、思わず途方に暮れていたりする学生…