【平家物語 第1巻 1 🪷祇園精舎🗡️殿上の闇打ち】 🪷祇園精舎〈ぎおんしょうじゃ〉🪷 祇園精舎《ぎおんしょうじゃ》の鐘の声、 諸行無常の響《ひびき》あり。 娑羅双樹《しゃらそうじゅ》の花の色、 盛者《しょうじゃ》必衰の理《ことわり》をあらわす。 おごれる人も久しからず、唯、春の夜の夢のごとし。 猛《たけ》きものもついにはほろびぬ、 偏《ひとえ》に風の前の塵《ちり》に同じ。 二十余年の長きにわたって、その権勢をほしいままにし、 「平家に非《あら》ざるは人に非ず」 とまで豪語した平氏も元はといえば、微力な一地方の豪族に過ぎなかった。 その系譜をたずねると、 先ず遠くさかのぼって桓武天皇の第五皇子…