今月に入って初めてのお茶の稽古は、今年になって初めての風炉の稽古でもあります。先月までの「炉」をしまい、点前座の奥に風炉を据えて、その釜で沸かしたお湯でお茶を点てるのです。炉の季節では、客に半身を向けるようにして、炉の暖かみを共有するようにしていたのに対し、風炉に向かって背筋を伸ばす姿勢が増えます。高校時代に弓道をやっていたので、柄杓を持つ手をスッと手前に引く「引き柄杓」の所作は、28メートル先の的に対峙するときの緊張を思い出させます。床の間には、鉄線の花が一輪、掛花入の口から顔をのぞかせています。 凛とした白い花が、たおやかな首に支えられて、宙に浮かんでいるように見えます。わずかな風に揺れる…