自分をつくった優秀な人は次の時代に合わせようとすると、自分を壊してしまう。自分をつくった人ほど次の時代に適応するのが苦しい。こういう苦しみを味わって、小津(小津安二郎)さんは『秋刀魚の味』(1962)をつくった。ぼくの老いとは関係ないけど、いろんな老いがあります。小津さんが無理をしてレールをひいたりカメラを動かしたりしたらみっともない。自分を封じて、自分の輪郭をはっきりさせるのは大変だったんだろうな。こういう先輩に教えられますね。どの時代にも適応するのは無理で、みなさんは若いから参考にならないかな。