移住した高原の地は敷地の東側には沢が流れてあたりはコナラなどの広葉樹が林を作っている。川向うにはブナやアカマツの林もある。そんな木々と目の前に大きな南アルプスの眺望に惹かれた。しかし同時に新宿駅からの特急列車が停まる駅まで歩いて七・八分でいける距離だった。それはつまり林の中とも街の中とも言えた。市街地と言っても横浜とは違う。ポツンポツンと家があるだけで夜18時には人影が無くなり20時には漆黒となる。冬の夜空では北斗七星とオリオン座が向かい合って世間話をしている様を楽しんで見上げている。 家の玄関を降りて三十メートルも進んだだろうか。一軒の屋敷がある。そこでお年を召した男性がゆっくりとゴルフクラ…