あるいは引っ掛け問題として、漢検にでも出題(だ)された例(ためし)があるんじゃないか。 「酒」の部首はサンズイではない。 酉(とり)である。 こいつをパーツに含んだ文字は、大抵酒か、さもなくば発酵製品にかかわりが深い。 酌、酔、酩、酢、酪、醤あたりが代表的だ。「醵」や「酋」なんかもまた然り。寄付金集めの古風な呼び名を「醵金」というが、本来「醵」の字はただこれだけで「金を出し合って酒を呑む」という意味を持つ。 「酋」の方もよく似たものだ。「酋長」といって、専ら未開部族のオサを指す単語に用いられるが、実はこれ一文字だけでも「よく熟した酒」を表している。 飲酒によって得られる酔いは、屡々神秘体験に役…