はじめに 死にそうな人が、ほんとうに死んでしまうまでの間に訪れることになるのが「狭間の世界」である。実際は思い出の風景が狭いエリアに存在して、人は存在しないという世界で、生きていた環境への未練を絶ち、魂だけになるところだと言う。今までいろんな死後の世界を読んだ気がするが、わりとしっくりきたのは初めてではないだろうか。さて、そんな一人ぼっちのはずの世界に、神様の手違いで、同じところに若い男女が招かれてしまった。どうせ死ぬのに今さら恋もしないし、食べなくても死なないはずが、他人というか若い異性が近くにいるせいで、生への欲望と戦わねばならぬ状態になっていく。そして、神様の手違いで、どちらかだけが生き…