「おめでとうございます!異世界転生が完了しました!」 男は目を覚ました。 「え、俺……死んだんだっけ?」 「はい。過労死ですね。なので、特別に異世界転生のチャンスを差し上げました」 「マジか。ありがてえ……」 「今回、あなたには“魔王コース”をご用意しております」 「え?魔王?俺、勇者がいいんだけど……」 「申し訳ありません。今、勇者は供給過多でして。魔王は人材不足なんです」 「そんな理由で!?」 「ご安心ください。特典として、最初から世界征服の8割は完了しています」 「……マジで?」 男が立ち上がると、黒いマントがひるがえった。手には禍々しい杖。鏡を見ると、角が生えていた。 「ほんとに魔王じ…