あの時分はまだ、今より会がもうちょっと賑やかでありました。 鬼籍に入られた方々、体の具合で足を運べなくなった方々、遠方のご子息のもとへ転居された方もいらっしゃいました。 会員の減少は、私たちの盆栽同好会ばかりに顕著な現象ではなく、まさに全国的に進んでいるものでしょう。そして、それは盆栽という文化そのものを揺るがせにする問題といっても過言ではありません。 もし市井のお庭の片隅から盆栽が消えてしまったとしたら、世の中には一億円の盆栽しか認知してもらえなくなることでしょう。そしてそれこそ〈盆栽=金持ちの趣味〉という貧相な固定観念のもとで盆栽という文化が逼塞してしまうのは避けられません。 飽くまで盆栽…