真尋が一人暮らしを始めた際、 「何かあった時のために渡しておくね」 と真尋に言われて、美和は合鍵を一つ受け取っていた。 その時に、マンションの入り口のオートロックについても、その暗証番号を書いたメモを受け取っていた。確か合鍵は物入れの一番上の引き出しに入れ、そして暗証番号のメモは手帳に挟み込んでいたはず。 真尋が一人暮らしを始めて約二年が経っていたが、それまで美和は真尋の部屋に行ったことは一度もない。 真尋の部屋に行かなければならないような用事なんてなかったし、何か連絡する必要に迫られた場合はメッセージアプリや電話で済ませていた。そもそもとしてそのような場合すら、この2年間で数えるほどしかなか…