ランキング参加中創作家達の集いの場 ランキング参加中知識 ランキング参加中読書 ランキング参加中雑談・日記を書きたい人のグループ 風と光 (連載小説・第1回) 猛烈な吹雪が北から突撃してくる。美津子は眼を硬くつぶり、歯を駆使しばり、低い前傾姿勢で、小刻みではあるが着実に歩を進めた。 「みっちゃん、がんばれー」「あと少しで校門だぞー」 美津子を追い越していくバスから、おない歳くらいの生徒たちが窓を開けて大声で叫ぶ。近所の豆腐屋や八百屋や魚屋の主人たちも、店から出てきて美津子に微笑みを投げかける。戦前の3年間、一日も欠かさぬ毎朝の光景だ。 声援が聞こえているのか、いないのか。美津子は同じ態勢を保っ…