石油(灯油)を用いる暖房器具の一種で,大まかには灯油を気化させた気化ガスをファンでバーナーに吹き込んで燃焼させる原理である.国内に数社のメーカーがあるが,3つの異なった燃焼方式がある.
エアコンやガスヒーターなどに比べて圧倒的に燃料のランニングコストが安いことが特徴.一般家庭が暖房機のエネルギー源として利用できるのは石油・ガス(都市ガス/プロパンガス)・電気の3つがあるが,同じ熱量あたりのランニングコストは石油が圧倒的に安く,続いて都市ガス,LPガス,最後が電気となっている.
気化器という装置で灯油を加熱し,バーナに加熱された灯油気化ガスを吹き込み,ガスバーナのように燃焼させる.最大の特長は「自律燃焼」と呼ばれる燃焼の安定性でである.ブンゼン気化式は気化器から噴出される気化ガスの量に応じてバーナに引き込まれる燃焼用空気が自動的にバランスされるので,火力の大小にかかわらず常に安定した青炎燃焼が可能である.
「ポンプ圧送霧化」と呼ぶ場合もある.(単に「気化式」と呼ぶ場合もあるが,JIS分類では「ブンゼン気化式」も気化式の仲間なので,厳密に言うとこの呼び名は正しくない.)
原理としては,熱せられた気化筒に空気と灯油をそれぞれファンとポンプで送り込み,気化混合したガスを上部のバーナで燃焼するものである.空気量と灯油量のバランスを保つために高度な制御が用いられている.
ポット式燃焼は,業務用の煙突付き大型ストーブで一般的な方式である.マットの敷かれた蒸発皿に油をたらし,ヒータで直接加熱・点火する.