訓読 >>> 138石見(いはみ)の海(うみ) 津(つ)の浦(うら)をなみ 浦なしと 人こそ見らめ 潟(かた)なしと 人こそ見らめ よしゑやし 浦はなくとも よしゑやし 潟はなくとも 鯨魚(いさな)とり 海辺(うみへ)をさして 和田津(にきたつ)の 荒磯(ありそ)の上(うへ)に か青(あを)く生(お)ふる 玉藻(たまも)沖つ藻 明け来れば 波こそ来(き)寄れ 夕(ゆふ)されば 風こそ来寄れ 波のむた か寄りかく寄る 玉藻なす 靡(なび)き我(わ)が寝し しきたへの 妹(いも)が手 本(たもと)を 露霜(つゆしも)の 置きてし来れば この道の 八十隈(やそくま)ごとに 万(よろづ)たび かへり見…