七夕祭りのすぐ後の夏休み、私は父と父の友達たちと渓流沿いの蕎麦屋さんに出かけた。川では泳げるし、ヤマメやニジマスの釣り堀もある。自分で釣った魚をその場で焼いて食べられるという、三歳の私には夢のような場所だった。 初めての釣りに挑戦する私は、針に餌をつけるのがどうしてもうまくいかず、父に手伝ってもらいながら投げるを繰り返していた。十回ほど試しても魚は全く釣れず、だんだん苛立ちが募ってきた。 そのとき、父の友達二人がお酒に酔って、私たちのすぐ近くで大声をあげながら喧嘩を始めた。 父は最初、気にしていない様子だったが、私が「もう投げてもいい?」と小さく声をかけた瞬間、騒ぎにかき消されて聞こえなかった…