寄る辺なき独居自炊の身をお気遣いくださり、つね日ごろ無沙汰欠礼の限りを尽しているにもかかわらず、親戚ご一統から、わが年越し籠城への食糧支援が次つぎ贈られてくる。世界の戦闘地域住民には顔向けしづらいが、当方の人道支援はいたって豊富だ。 埼玉県のニュータウン在住の叔父からは、帝国ホテル仕様のスープ。ミネストローネ六缶、コーンスープ・人参スープ・かぼちゃスープ各ふた缶、都合十二缶詰合せ。年末年始に台所も億劫だろうし、栄養が偏ってもいかんとの、お心遣いである。 叔父と夫人の義叔母とは、わが親戚の最長老だ。父方母方双方を眺め渡ししても、健在の伯父伯母・叔父伯母はほかにない。ご夫妻ともに物理学者で、アメリ…