訓読 >>> 1218黒牛(くろうし)の海(うみ)紅(くれなゐ)にほふももしきの大宮人(おほみやびと)し漁(あさ)りすらしも 1219若(わか)の浦に白波立ちて沖つ風寒き夕(ゆうへ)は大和し思ほゆ 1220妹(いも)がため玉を拾(ひり)ふと紀の国の由良(ゆら)のみ崎にこの日暮らしつ 1221我(わ)が舟の楫(かぢ)はな引きそ大和より恋ひ来(こ)し心いまだ飽かなくに 1222玉津島(たまつしま)見れども飽かずいかにして包み持ち行かむ見ぬ人のため 要旨 >>> 〈1218〉黒牛の海が紅に照り映えている。従駕の女官たちが、岸辺で魚をとったり貝をあさったりしているらしい。 〈1219〉和歌浦に白波が立…