ある昼下がり、テーブルを拭こうとして、流しの布巾を洗って絞ったら、黒い何かが親指に飛びついた。「いたい!ムカデに刺された!」私は叫んだ。この騒ぎに子どもたちが集まってきた。夫が言った。「早く水で傷口を流して!」私は急いで傷口を水道水で流した。ジクジク傷んだ。蚊以外の虫に刺されたことなんてほとんどないなら、こんなに痛いことにビックリした。すぐに親指が赤くパンパンに腫れた。徐々にその症状は広がり、手の甲はんぶんまで広がった。いつも血管や骨がうっすら浮き出ているほっそりとした手が、クリームパンの膨らみみたいにパンパンになった。赤っぽいからトマトパンかな。私はじわじわと地味な怒りが湧いてきた。なんで、…